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特産品研究レポート⑤「鰹節を買うのは12月が最多」を発表しました

出汁はもちろん、食べる鰹節へも多様化する鰹節商品

今回は「鰹節の日」、そして「和食の日」でもある11月24日(いいふし)に合わせ「鰹節」について調査しました。

ゆるやかに生産量が減少する中、少量化や簡便化、食材化を図ることで今の暮らしで利用しやすい形へ多様化をとげている姿が見えてきました。

同時に、郷土の食材の1つ、なまり節は生産量が半減、かご市としても何かできることを…と考え下記フェアを計画しました。

かご市の鰹節フェア

期間:11/24㈬~12/23㈭
場所:天文館かご市店内
内容:かつお節関連商品の販売、なまり節に関する情報発信

0:かご市の鰹節研究レポート目次

1:鰹節を一番買うのは12月
2:鹿児島は鰹節生産№1・シェア75%
3:なまり節の生産量が半減
4:ネットで「鰹節」を検索する人は増加中
5:産地の取り組み例~漫画に登場した指宿鰹節
6:「簡便少量化」と「食べる鰹節化」へ
7:かごしま特産品研究所について
8:お問合わせ先

1:鰹節を一番買うのは12月

○そもそも鰹節はいつ、どんな理由で買うのか…を調べました。

○家計調査によると、鰹節の購入が年間でもっとも多いのは12月となっています。

冬季の鍋・おでんニーズに加え、お雑煮や煮物など出汁を多用するお節・正月料理に向けた購入と想定されます。

※参考:「出汁」というキーワードの検索数は年間で年末時が最多であり、出汁取り用の鰹節購入とひもづけられそうです。

【1世帯当たりの月別支出金額】
(二人以上の世帯、全国、令和2年)(単位:円)、総務省「家計調査」より

鰹節購入金額月次推移グラフ

2:鹿児島は鰹節生産№1・シェア75%

○「鹿児島は鰹節生産№1」と聞きますが、実際のシェアを調べてみました。

鹿児島県は№1の鰹節生産量を誇り、シェア75%となっています(2018年漁業センサスより)。

○鹿児島・静岡に2県で鰹節の99%を生産しており、
・鹿児島県枕崎市
・鹿児島県指宿市
・静岡県焼津市
が3大生産地です。出汁として和食や日々の食卓を底支えしていることになります。

3:なまり節の生産量が半減

○味噌醤油などは中長期で見るとゆるやかな減少傾向にあるものが多いのですが、鰹節の生産量について調べました。

○右図の中で特筆すべきはなまり節です。

/

なまり節は主に静岡と鹿児島で生産されていますが、生産量は大きく減少、この10年で46%と半減しています。

○なまり節は鰹節と比べ、
・元々生産者自体が少ない
・家族経営的な事業者
という話もあり、消費量の観点と、高齢化による廃業などの可能性もあるのではないかと想定しています。

【生産量推移(全国)】
2011年を100としたときの生産量比率推移。農林水産省「水産物流通統計年報/品目別水産加工品生産量累年統計」より

4:ネットで「鰹節」を検索する人は増加中

○何かを知りたい・買いたいなど行動に結びつきやすいと言われるネットの検索ワードとしての鰹節を調べました。

2011~2020年の10年間、検索数は上昇トレンドにあり、生産量の減少とは異なり、鰹節に関する情報入手意欲は高まっていると言えそうです。

【鰹節というキーワードの検索数推移】
検索数最多時を100としたときの相対値推移。Google トレンドより

5:産地の取り組み例~漫画に登場した指宿鰹節

○上記のような情報ニーズに対して、産地でどんな取り組みがなされているかを調べました。

○たとえば、指宿鰹節は山川水産加工業協同組合(鹿児島県指宿市山川新栄町9番地、25社加盟)が持つ登録商標で、令和2年2月「地域団体商標」として特許庁より認定、鰹節ブランドの育成を図っています。

○指宿鰹節は和食の料理人などプロに重用される最高級品「本枯れ節本節」で全国シェアの7割を生産していますが、一般消費者からの認知度を高めるため、上記の商標登録や地域団体商標としての取組を行うほか、都市圏消費地での体験プログラムの実施や情報発信に取り組んでいます。

○その1つとして鰹節の魅力を発信するアンバサダーを任命、そのうちの1人、漫画家のきくち正太氏が、指宿鰹節のことを料理エッセイ漫画『あたりまえのぜひたく』(幻冬舎コミックス 、2021/8/30刊)で取り上げています。

6:「簡便少量化」と「食べる鰹節化」へ

○家庭で使われる鰹節商品の在り方から現在の鰹節の利用トレンドを調べました。

○大きな流れとして「簡便化・少量化」が見られます。

○さらに、用途により3つに分けられることがわかりました。
 A出汁取り(右下の「液体調味料」へ):コロナ禍の家庭内調理増で利用増
 Bトッピング(少量パックへ):おひたし、和え物、たこ焼き、お好み焼き、チャーハン等
 C食べる鰹節:鰹節を「旨味と具材の両使い」するのが基本パターン

○「③食べる鰹節」は茶節セットやごはんのおとも、ラーメンやアヒージョなどの商品も誕生、かご市での取扱も増えています。

7:かごしま特産品研究所について

鹿児島県商工会連合会が運営する店舗「かご市」で、県内特産品を深く知り”おいしく楽しく”盛り上げる調査・研究・発信を行うチーム。

 ①特産品のトレンドや利用方法の調査・研究
 ②特産品の特長や購入者の調査・研究
 ③特産品が生み出される背景・製造者の調査・研究

所長:山崎道夫(かごしま特産品市場・かご市支配人)
主席研究員:鳥丸亮(鹿児島県商工会連合会)
研究員:中島秋津子(株式会社STUDIO K)
研究員:縄田倫靖(NAWAGATE株式会社)

8:本件のお問合わせ先

かごしま特産品市場「かご市」、及び同研究所に関わるお問い合わせは下記にて承ります。 
研究員 中島秋津子(スタジオK内)
HPから:スタジオK問い合わせ窓口より
お電話で:099-203-0477
※月~金9:00~18:00

/かごしま特産品研究所